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岡山弁講座
岡山弁講座
単語編
でーれー、ぼっけー、もんげー
「でーれー」、「ぼっけー」、「もんげー」は、「ものすごい」を意味する代表的な岡山弁。人気キャラクターのセリフや、小説・映画のタイトルになるなど、全国的にも知名度が高いのではないでしょうか。約30年前に行われた使用頻度の調査では、でーれーが7割、ぼっけーが2割、もんげーが1割でした。
桃太郎のお供?
「岡山といえば桃太郎。岡山市内を歩いていると、お供の「いぬ」、「さる」、「きじ」を連れた桃太郎の像を見かけることも多いのではないでしょうか。
ところで、岡山弁では「帰る・去る」を「いぬ」と言います。
「さる」=「いぬ」ということは、岡山弁では桃太郎のお供は「いぬ」と「いぬ」と「きじ」である、と言えるかもしれません(?)
文法編
連母音の変化
連母音の変化は、岡山弁の入門編ともいえます。これをマスターすればだいたい岡山弁らしくなります。
「あい(ai)」、「あえ(ae)」、「えい(ei)」、「おい(oi)」、「おえ(oe)」は一括して「えー (e-)」に変化します。例として、「どえらい(doerai)」は「でーれー (de-re-)」に、「太い(futoi)」→「ふてー (fute-)」に、「長い(nagai)」は「なげー (nage-)」に、等々。
「うい(ui)」だけは「いー (i-)」に変わります。したがって「暑い(atui)」は「あちー (ati-)」に、「寒い(samui)」は「さみー (sami-)」に変化します。
元の言葉 | 岡山弁 |
---|---|
どえらい | でーれー |
太い | ふてー |
長い | なげー |
暑い | あちー |
寒い | さみー |
丁寧な命令形
丁寧な命令形(「~しなさい」という言い方)は、岡山県内でも備前・備中・美作の各地域で異なります。たとえば「見なさい」は順に「みられー・みねー・みんちゃい」と言い、「来なさい」は「こられー・きねー・きんちゃい」となります。岡山市は旧備前の国の中心ですから、丁寧な命令形は「見られー・来られー・食べられー」などと言います。
単語編で紹介したとおり、「帰る・去る」の岡山弁は「いぬ」ですから、「帰っておけ」は「いんどけー」となります。これを丁寧にして「帰っておきなさい」という場合、岡山市では「いんどかれー」と言うわけです。ちなみに備中地域では「いんどきねー」、美作地域では「いんどきんちゃい」です。岡山市内では「いんどかれー」のほかにも「ほっとかれー (放っておきなさい)」や「いっとかれー (行っておきなさい)」などなど、ひんぱんに「カレー」が聞こえてきますよ。
なお、美作地域は「しんちゃい・きんちゃい・たべんちゃい」というふうに「チャイ」が出てきますし、岡山県内全体で「何」は「なん」と発音します(たとえば「何から何まで」は「なんからなんまで」です)。備前でカレー、美作でチャイ、全域でナン。岡山県人はインド料理が大好きなのかも(?)
元の言葉 | 備前 | 備中 | 美作 |
---|---|---|---|
見なさい | みられー | みねー | みんちゃい |
来なさい | こられー | きねー | きんちゃい |
帰っておきなさい | いんどかれー | いんどきねー | いんどきんちゃい |
内容監修 青山 融
1949年岡山県津山市生まれ。元『Osera』編集長。独自に岡山弁の研究を行い、映画『バッテリー』『釣りバカ日誌18』や『でーれーガールス』での方言指導をはじめ、各種メディアへの出演や講演など幅広く活躍。著書に『岡山弁JARO?』がある。