特別インタビュー 「岡山Iターン転職事情」

林大輔さん
  • 岡山市移住・定住支援協議会メンバー
  • 株式会社キャリアプランニング
  • 人材紹介営業部 林大輔さん
  • インタビュー実施日 2024年7月10日

仕事や住まいをはじめとする様々な移住相談にワンストップで支援することを目的に設置された岡山市移住・定住支援協議会のメンバーであり、移住希望者の転職支援を行っている林さん。ご自身も大阪から岡山へIターンのご経験をされていらっしゃいます。Iターン転職を成功させるためのポイントについて話をお聞きしました。

仕事や住まいをはじめとする様々な移住相談にワンストップで支援することを目的に設置された岡山市移住・定住支援協議会のメンバーであり、移住希望者の転職支援を行っている林さん。ご自身も大阪から岡山へIターンのご経験をされていらっしゃいます。Iターン転職を成功させるためのポイントについて話をお聞きしました。

岡山の有効求人倍率は高めで、転職活動には良い状況。ただしキャリアを活かした転職のためには視野を広げることも必要。

岡山の求人状況を教えてください。

厚生労働省が発表した最近のデータでは、令和6年4月の岡山県の有効求人倍率(季節調整値)は1.45倍でした。ちなみに東京都は1.14倍で、全国平均は1.26倍の数字です。岡山の有効求人倍率に関して言うと、全国的に見ても比較的高い水準にあるといえます。特に、情報通信・医療・福祉系の業界、接客・サービス業を中心に求人数が伸びている印象です。 転職には有利な状況とはいえ、東京などの都市圏から岡山へのIターン転職を希望される方の中には、岡山の求人状況のギャップに戸惑う方もいらっしゃると思います。たとえば、メディア関係やIT関係の専門職など、都市圏では多くの求人があっても岡山では少ない、またはほぼ無いといったケースもあります。また、大企業での細分化された業務や特価したスキルが、幅広い業務を扱う傾向の中小企業には設けられていない、という場合も考えられます。 もちろん、これまでとは違う業種の会社で、都市圏でのキャリアを生かして活躍されている方も多くいらっしゃいます。マネジメント層のニーズが伸びていることから、50代で転職に成功した例もあり、年齢による転職限界については一概には言えないのではないでしょうか。 転職にあたっては、「自分のキャリアを最大限に活かしたい」というのは誰しもが思うところです。しかしIターン転職を検討する際には、「これまでとは違う業種の会社で、自分のキャリアをどう活かせるのか」というところまで視野を広げてみることも必要です。

収入面は、2~3割程度ダウンする傾向にあり。キャリアを上手に生かし、将来的な視点で選択を

東京から岡山に転職すると、やはり収入は下がるのでしょうか?

都市圏から岡山の会社にIターン転職する場合、全般的には3割程度の収入ダウンを覚悟しておいた方がよいと思います。その理由として、給与総額の地域的な差異というものがあります。令和5年の「賃金構造基本統計調査」の結果によりますと、岡山県の賃金は290,800円でした。これに対して東京都では368,500円です。岡山県の賃金は東京の78%ということになります。まず地域的な差異として、20~30%程度の収入ダウンが予想されます。また、同年代・同職種の新規学卒者のモデル賃金例と比べて、中途採用者の給与はやや低めに設定する企業も少なからずあるようです。転職した初年度については賞与支給がない、といったケースも見越しておく必要があります。 一方、岡山の企業に転職した方の中には高度なスキルや専門知識、マネジメント経験を買われて将来の役員候補として採用された例もあります。都市圏で身につけたスキルや、県内の転職希望者とは違った経験・知識をプラスと捉え、自社の成長のために必要な人材だと評価する企業もあります。その場合は、給与や待遇面が比較的好条件で設定されることもあるでしょう。 もちろん東京で今の仕事を続けたとしても、将来的に収入が約束されるという保証はありません。転職を「点」で捉えると収入ダウンは避けられませんが、数年で同じ賃金レベルに上がる場合もあり、移住先での生活や環境も含め、中長期で捉えて選択することが大切です。

情報収集はもちろん、必要なものを整理し、優先順位を付けて行動することが大切。

転職活動は、どのように進めるのが良いでしょうか?

Iターン転職では、事前に岡山の求人情報をしっかり調べた上で動かれる方が多い印象です。とはいえ今の時代、目標を持たないまま闇雲に情報を集めすぎてしまうと逆に収拾がつかなくなってしまうので、目的や自分に合ったものを見極めて精査することを心がけましょう。 整理するという意味では、民間の転職エージェントに登録していただくのもおすすめです。全国規模の転職エージェントもありますし、私たちの会社のような地域に特化した転職エージェントもあります。転職エージェントを探されるときは、厚生労働省が一定の基準を満たした事業者を職業紹介優良事業者として認定していますので、そうしたリストなども参考になるかもしれません。エージェントが設けている出張オフィス、またはオンラインや電話面談や県や市が主催している相談会などの相談窓口を活用して地域の情報に精通したコンサルタントに相談するのも策の一つです。 ハローワークに関していえば、ネットサービスもありますし、岡山のハローワークを訪問しなくても最寄りのハローワークで岡山の求人情報を確認することもできます。その他、岡山市の移住窓口やふるさと回帰支援センター内に岡山県のブースもありますので、東京で仕事を含めた移住全体を相談するのには便利です。 採用内定に至るまでは、一般的に複数回の面接等が行われます。近年では1次面接はオンラインで実施される企業様も増えております。ただ最終的には直接会社を訪問して面接に伺って頂くケースが多いです。そのためには岡山に行く時間や交通費、宿泊費もかかりますし、働いている方であればまとまった休みというのはなかなか取りづらいものです。情報収集・整理を行った後は、しっかり優先順位を決めて効率的な活動をしていくことが重要です。悩むことも多いと思いますが、そんなときは私たち転職エージェントも存分に頼ってもらえればと思います。

「目に見えない報酬」にも目を向けること、夫婦・家族の価値観を合わせておくことが重要。

実際に岡山に移住された方からは「収入ダウンと同時に支出も減ったので、生活のレベルは変わらない」という声も聞きます。Iターン転職において考えておくべきポイントを教えてください。

私たちは仕事を通じて様々な「報酬」を得ているわけですが、そこには「目に見える報酬」と「目に見えない報酬」とがあります。給与というのは、「目に見える報酬」の代表例です。あるいは会社における地位・ポストなども「目に見える報酬」です。東京から岡山にIターン転職すると、多くの場合これらの「目に見える報酬」は下がってしまいますので、この点にだけ注目すると、岡山に移住したいという気持ちがあっても、転職をためらってしまうのは当然だと思います。 しかし、仕事が与えてくれるのは目に見える報酬ばかりではありません。仕事を通じた成長、仲間との出会い、仕事のやりがい、仕事の後に感じる安らぎ・休息といったものは、仕事が与えてくれる「目に見えない報酬」です。職業人としての役割だけでなく、夫や妻としての役割、子どもの親としての役割もある中で、「自身がどう暮らしたいか」「どういう人生を歩みたいか」といった生活全体への意識は、多くの方にとって移住の動機づけとなる部分だと思います。 「ライフ」においての幸せは何かを考えた場合に、Iターン転職によって「目に見えない報酬」も減ってしまうのか、あるいは逆に多く得られるものがあるのか、そうした点にもしっかり心を配っておくことが重要だと思っています。また、一定の就業要件を満たす方を対象に移住支援金などもございますので、ぜひご確認頂けたらと思います。 もう一つ重要なのは家族との話し合いです。転職活動を行って、実際に会社からの内定まで出ていたのに、最終的に家族の反対によって転職を断念されたという例は少なからず存在します。仕事に限らず、お子さんの学校入学のタイミングなども関わってきます。Iターン転職というのは大きな決断ですので、ご家族の間で価値観を共有しておくことが必要です。移住支援団体などのサポートも活用しながら、ご家族と移住に向けた準備についてしっかり話し合い、転職活動を行うことをおすすめします。

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