移住者インタビュー

岡山市東区
30代
Iターン
会社経営
出身地:
鳥取県
取材時住所:
岡山市東区
移住年:
2010年
年齢:
38歳
家族構成:
3人(本人、妻、息子)
職業:
会社経営
会社員として岡山の支社に赴任
結婚を機に岡山に定住し、今後の活動拠点とすることを検討
退職し、個人事業主として岡山で独立。その後、法人化
子育てなど生活環境を考慮して、妻の実家に引っ越し

本音と誠意、地域への思いを持って付き合えば、郷土愛の強い岡山の人たちに受け入れてもらえます。

岡山市への移住を決められたきっかけは?
転勤族だった私にとって、「移住」というのがどの段階を指すのかを明確にするのは難しいのですが、岡山との縁は、会社員時代の2010年に転勤で赴任して来たことが始まりです。本社は東京、支社は全国の主要な都市にある情報サービスの会社に勤務していたので、それまでも東京や広島への赴任経験がありました。その後、岡山で妻と出会い、結婚。妻は岡山出身、私は鳥取出身なので、お互いの両親のことを考えると、結婚後も中国地方のどこかを拠点にして活動したいという思いがありました。ゆくゆくは独立したいと考えていたので、起業に際してのさまざまな要素を考慮したときも、条件が良かったのが岡山です。そんな経緯なので、岡山への移住・定住は、地域そのものよりも妻や家族という人に紐づいているという感覚です。
移住するまでの流れを教えてください。
さきほどお話ししたように、転勤で岡山に来て妻と知り合って結婚、退職して岡山で起業したわけですが、具体的には次のような流れでした。2010年に岡山に着任し、2年ほど勤めました。妻と結婚したのは2011年の初頭のこと。子どもが生まれる前に退職して、2012年の春に個人事業主としての活動を開始。その後、2013年の暮れに法人として登記して現在に至ります。前職で培ったノウハウを活かし、人材育成や企業研修プログラムを提供しています。

もともと35歳くらいで独立しようと考えていたのですが、起業の地として東京は違うと思っていましたし、自分の中で中国地方の都市のどこか、という条件は外せなかったのです。広島での勤務経験もあったので候補には上げてみたものの、人件費・固定費の面を考えるとあまりメリットを感じませんでした。仕事も大切ですが、家族のことが一番です。妻やお互いの両親のことを考えたときに、選択肢として残ったのは岡山だったのです。
現在の生活について教えてください。
岡山に来てからずっと街中のマンションで暮らしていましたが、最近になって郊外に引っ越しました。子育てにふさわしい環境を求めて、妻の実家である現在の住まいでの暮らしが始まったばかりですが、大所帯になってにぎやかになりました。すぐ近所に年齢の近い子どもさんたちがいるので、一緒に遊んでもらったりして、子どもが嬉しそうです。元気いっぱい、好きなときに庭で走り回れるのもいいですね。そして、空気が澄んでいて夜の星空に感動しました。街中と郊外はそれほど変わらないと思っていましたが、星の数が圧倒的で見え方が違うんです。これには驚きましたね。

仕事では岡山のオフィスの他に九州にも拠点を構えているので、週に何日かは出張することがあります。連日県外に出ていると「岡山に帰りたい」と思うほど。こちらに来て5年目ですが、すっかりなじんで愛着があります。
移住してみて苦労したこと、事前に調べておけばよかったことは?
岡山で起業して会社を経営する者としての視点になりますが、既に地域の企業さん同士である程度完結している経済活動の中に、新規に参入していくのは難しかったです。人材育成や企業研修を専門にする会社は業種としても特殊なので、立ち上げのときは苦難の連続でしたね。その後、地道な営業活動やさまざまな方面からの協力が得られたことで、なんとか軌道に乗せることができましたが、BtoBのビジネスでの起業は本当に難しいことを思い知らされました。
移住後に感じた岡山の魅力とは?
事業の立ち上げ時の苦労をこうして語れるのは、地域の方に受け入れてもらっていると感じられる今だからこそ。誰でもそうですが、最初から本音を言い合えるまでには時間がかかると思います。本音・本気で付き合えるまでには、誠意と熱意でぶつかっていくしかない。企業さんや地域を良くしたいという思いが伝わったときに、初めて受け入れてもらえるんです。自分たちと同じフィールドに来たと思ってもらえたときに、「お前、ようこっち来たな!」という感じで歓迎を受けました。そして、一旦受け入れてもらえたら、温かさを感じられるところです。一歩踏み込んで本気で付き合うためには、一緒に考えたり、一緒に取り組んだりすることが大切。地域愛を持たれている方がとても多いのだと思います。
移住を検討されている方へのメッセージ・アドバイス
私自身、岡山に移住して全く後悔はありませんし、今の暮らしに満足しています。住みやすいですし、他の地域からどんどん来て欲しいです。

人材育成に携わる立場からのアドバイスになりますが、地方への移住を検討している方にとって、一番ネックになるのは仕事だと思います。岡山の有効求人倍率は高い水準にありますが、必ずしも移住前と同じ職種の仕事が見つかるとは限りません。もちろんこれまでに積み重ねたキャリアを活かしての転職が理想的ではありますが、自分の強みを知った上で、少し視野を広げてみることも大切ではないかと思います。たとえば接客業の経験があるなら営業職を検討してみるとか、職種を限定せずに探してみることでマッチングがうまくいく場合もあります。企業としては、同じ業種の経験者よりも、その分野が未経験でも人柄や考え方などを、より重視する傾向があります。その業界を知っていることよりも、「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらうことが鍵になります。

地方への転職となると年収ダウンの可能性も高く、お子さんがいたらなおのこと、簡単には踏み切れないと思います。しかし、どこで仕事をしていても、今の年収水準を維持できるという保証はどこにもありません。これからの人生をどう生きていくのか、どんな能力を活かしてどんな仕事をしていくのか。これが自分で自分のキャリアを決めることができる最後のチャンスだと思って考え方・見方を変えることで、道は開けるのではないかと思います。
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