移住者インタビュー

岡山市北区
60代
Jターン
自営業
家族移住
出身地:
岡山県倉敷市
取材時住所:
岡山市北区
移住年:
2009年
年齢:
64歳
家族構成:
本人、妻、ヤギ2頭
職業:
画家、「建部新聞」副編集長
夫婦で移住を決意
情報を収集し、田舎暮らしのイメージを固める
物件探し
岡山市北区建部にある一軒家へ引っ越し

終の棲家として岡山の一軒家へ引っ越し。ヤギと一緒に暮らす夢が叶いました。

岡山市への移住を決められたきっかけは?
私はもともと倉敷生まれなのですが、高校卒業を機に上京してからずっと都内に住んでいました。ところが2009年、住んでいたアパートの建て替えで退去をすることになったうえ、ちょうどその頃妻が仕事を辞めることに。どうせ仕事と住まいの両方から探すのなら、“終の棲家”を見つけようと2人で移住を決断したのです。そこで、妻にどのような生活がしたいかを尋ねたところ、「忙しい都会から離れて、これからはヤギを飼って散歩させられるようなのんびりとした暮らしがしたい」と言われました。初耳だったので正直驚きましたが、妻の夢を叶えたいと思い、移住先を探し始めました。そして、その夢が叶う家を見つけたことが、岡山の建部に移住するきっかけになりました。
移住するまでの流れを教えてください。
まず、妻がどのような田舎暮らしを望んでいるのか紙に書き出してもらったところ、(1)小さい平屋、(2)家の前に木が生えていること、(3)100坪~300坪の菜園があること、(4)ニワトリとヤギが飼えること、(5)街まで4km圏内に位置すること、(6)自転車で移動できる範囲に駅やスーパーなどがそろっていること、という6つの条件が挙がりました。これらをもとに、最初は妻の出身地である福島県や周辺エリアを探していましたが、冬場はとても冷え込むためヤギを飼うのは難しく、ならば自分の故郷の岡山はどうだろうと思い不動産の方に聞いたところ、建部地域にただ1軒だけ妻の理想に合った家が見つかりました。2階建ての一軒家だったため想定よりもかなり広かったのですが、それ以外の条件はほとんど当てはまっていたうえ、家の雰囲気や近隣の風景も気に入ったので即決しました。
現在の生活について教えてください。
アート作品を展示する「ドレミファミリアアートギャラリー」というスペースを作ることで、近隣の方と交流を深めています。「誰でも気楽に玄関の戸を開けて、お茶を飲んで、わいわい話せる家にしよう」と決めていたので、玄関周りにある小部屋の仕切りをすべて取り払って、来客者がリラックスできる土間のような広い空間を作りました。また、廃屋のようだった2階部分はギャラリーにし、私の絵画や、義兄が定年退職後始めた油絵を展示したり、近所に住む人が手がけた水墨画や書道作品などを飾って展覧会を開催したりしました。これらによって、近隣住民との親好を深めることができ、家に大勢の人が遊びに来てくれるようになりました。
移住してみて苦労したこと、事前に調べておけばよかったことは?
岡山は暖かいと思って来ましたが、建部は山間だから非常に寒い。移住して8年経ちますが、今でも「どこが暖かいのよ」と妻に言われます。もう一つ、家の裏にある山の一部は私が借りている土地なので、草を刈ったり谷水の管理をこまめにしないといけないのも大変。でも、苦労したことはそれぐらいです。近隣の人から野菜をお裾分けしてもらったり、「庭の木が倒れそう」と言ったら誰かが手伝ってくれたりもします。そういう田舎ならではの良さがあったので、移住先で仕事や生活スタイルが変わっても、困ることは少なかったんだと思います。
移住後に感じた岡山の魅力とは?
家の最寄り駅と岡山駅間を走る列車に乗ったときに望める、川と森、そして家がぽつぽつとある景色がお気に入りです。もし自分が旅人だったら「あぁ、こんなところに住んでみたいな」と思っているでしょう。そのような魅力ある町に今私が住んでいると思うと、とてもうれしく思います。

もう一つ、自然が豊かな建部町に音響設備の整った文化センターがあるのも良いです。先日も、世界的に有名なピアニストのアンドレイ・ググニンと、チェロリストのアンドリアノフによる演奏会が開催されました。実は、ググニンがこのセンターで演奏会を開いたのは2度目。再訪してくれた理由を聞いてみると「ここのホールは自然に囲まれたメルヘンなシチュエーションがそろい、さらに音響設備も整っている。とても素晴らしい」と答えてくれました。この魅力に気づいていない人は、このセンターがあること自体をメリットだと思っていないでしょう。気づくことで幸せを感じるはずですし、その他にも岡山には気付くべき魅力が山ほどあると思います。
移住を検討されている方へのメッセージ・アドバイス
田舎暮らしをするだけで幸せな生活を得るということは、とても難しいと思います。なぜなら、“幸せ”は田舎が与えてくれるのではなく、自分の心が与えてくれるものだから。自分の心の中に「これが幸せだ」という目標がなければ、田舎暮らしをしても満足できないはずです。そこで、まずは移住先でどういう生活をしたいのか、子どもも含めて家族全員で話し合ってください。そして、できればそれを紙に書き出し、全員で共有してください。そうすればきっと充実した田舎暮らしが送れるでしょう。

また、私は「建部新聞」というものをネット上で発行しています。この新聞は、建部の良さを建部町の外に住む人へ発信しているもので、建部への移住者が増えてほしいという思いが込められています。田舎暮らしを検討している人にはぜひ読んでもらって、建部のことを知ってもらいたいですね。
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